2019/6/28(金)に公開となった『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』
色々と仕事が立て込んでいて、最初に予約していた回(席)を同僚に譲り、遅い上映回にズラしズラしで何とか公開初日に観る事ができました。
今週火曜日には最後の『アベンジャーズ/エンドゲーム(8回目)』を観て、気持ちを上げていただけに、無事に鑑賞できて良かった・・・
あらすじ(ネタバレ無し)
エンドゲームの後のお話。サノスの指パッチンで消えなかった人と、消えていた人では5歳差がついているものの、何とか日常を取り戻しつつある世界。
ピーター・パーカー(スパイダーマン)も「親愛なる隣人」として、ささやかにヒーロー活動をしつつ、高校の「学力コンテスト・チーム」で夏休みに訪れるヨーロッパ旅行を楽しみにしている。
旅行中にミシェル(MJ)に告白する計画を立て、恋愛モード全開のピーターに、ニック・ヒューリーからの電話が度々かかってくる。
アイアンマンとキャプテンアメリカが居なくなった世界を一体誰が守るのか・・周囲からの「ヒーロー」としての期待と、普通の高校生でいたい感情の間で苦悩するピーター・パーカーのお話です。
以下、オフィシャル動画
点数をつけるとしたら?
あくまでも個人的な評点ですが、「6点/10点満点」です。
今回のファー・フロム・ホームは、ファンの間ではご存知の通り、MCUフェイズ3を完結させる物語でもあり、フェイズ4へのブリッジとなる作品です。
あの、オールスターなんて言葉では物足りないくらいの「エンドゲーム」の後、どんな風にMCUが続いていくのだろうという期待感と、連載漫画でよくある「ここで終わりにしておけば名作だった」というがっかり作品シリーズになってほしくないという不安感が半々くらいありました。
そんな僕の不安を払拭・・・とまではいきませんでしたが、単体の映画として十分楽しめました。エンドゲームの感動が大きすぎた事もあるので、改めて見たら7点くらいはつけるかもしれません。
エンドゲームのラストでは、キャプテンアメリカの後継者として、サム(ファルコン)が老スティーブから「象徴である盾」を受け継ぎましたが、トニー・スタークの後継を期待されているのはピーター・パーカーです。ただ、ピーターはまだティーンの高校生であり、本人の中でも大きな葛藤があります。今作で、ピーターが使命感に目覚めてトニーの後継者を自覚したか・・と言えばそうではありませんが、間違いなく成長しました。今後のMCUを中心となって牽引するであろう若きスパイダーマンの今後をワクワクしながらウォッチしていきたいと思います。
ネタバレ感想と疑問
ここから先は、ネタバレになる事を書いていきます。
ピーターの成長
今作で一番印象的だったのが、ピーターの心境の変化です。
シビルウォー~ホームカミングでは、「僕だってこれくらいやれるんだ、もっと大きな仕事を任せてよ!」とアベンジャーズとしての、ヒーローとしての活動を心待ちにしていた彼が、今作では「普通の高校生として夏休みを楽しみたい、恋愛をしたい」とヒーロー活動から逃げ回ります。
これは、インフィニティウォー~エンドゲームで生死を賭けた戦いを眼前にして、そして一度は塵となって消えた恐怖から「身の程をわきまえてしまった」のだと思います。
同時に、眩しかったヒーローとしての生き方と同じかそれ以上に「かけがえのない平和な日常」を大切に感じるようになったのでしょう。
「世界平和」と「サークルの好きなあの娘に告白する」事の価値が心の中で釣り合ってしまっていて、「これじゃいけない」という気持ちと、「でも僕子供だもの」という開き直りが、終始せめぎ合っていました。
トニーは本当にピーターを後継に考えていたのか
期待していたのは間違いないと思いますが、本当にそこまで周到に準備していたかは疑問です。だって、ピーターをはじめ、消えた半分が戻ってくるかどうかは正に賭けだった訳ですし、モーガンに「ビデオメール」を残すのとは訳が違うと思うのです。そもそも、ハルクのパッチンからはノータイムで最終決戦に突入した訳ですからね。
今作、エンドロール後のクリップで、実はスクラル人(※)が・・・というくだりがありましたが、トニーの遺品である、イーディス(AI)搭載のサングラスをピーターに渡したのはやはりニック・ヒューリーの判断なのでしょう。
※キャプテンマーベルに出てきた人に擬態する宇宙人
MJについて
アメコミ原作&旧作ではメリー・ジェーン、略してMJだったピーター・パーカーの彼女が、ミシェル・ジョーンズに名前が変更されました。
共通点は、「誰が見ても可愛い」ではなく、「ちょいブス・・いや、可愛いか?・・うん、可愛いかも」という絶妙なラインだと思っています。メリー・ジェーンは恋多き女性で、ピーターとも距離を取ったり詰めたりを繰り返しますが、今回のミシェルは一途、だけど少し変人というスパイスが効いています。
もし、ピーターがトニーの後継として今後の話が動いていくならば、MJはペッパー・ポッツのポジションに収まる訳ですよね。MJ役のゼンデイヤさんは、プライベートでピーター役のトムホランドとパパラッチされたりしてましたが、MCUシリーズの為にもいい関係であり続けて欲しいです!不器用な初々しさも含めて、応援したくなるいいキャラです!
ミステリオについて
原作でヴィラン(悪役)だったのは知ってました。もっと言えば、ヒーローになりたい、チヤホヤされたいから、悪事をでっちあげて特殊効果とVFXで解決したようにみせかける、正に今作での役回り、ほぼそのままのキャラだという事も知っていました。
でもね、映画中盤までは完全に、あれ?このミステリオは本当に多次元世界、他の地球から来たヒーローなのか?と思わせられました。
原作アメコミでは、モーガン・スタークはトニーの従兄弟であり、トニーを恨む悪人ですが、MCUでは天使のようなトニーの愛娘です。マジ可愛い。
同じ名前だけど、善悪の立ち位置すら変えてキャラメイクする可能性もあるよな、と思って観ていました。
予告編の「世界を救うには犠牲を伴う、人々が死ぬこともある」というセリフから、ミステリオの信じる正義と、目に見える人を手に届く人は出来る限り救いたいと考えるピーター考え方が相容れないいわゆる「正義」VS「正義」の展開か?とも考えていました。
・・・が、完全に騙されました、良いキャラでしたね~!シビルウォーの「BARF(ゲロ)」のくだりを見返したくなりました。
まとめと今後
今回、本当に良かったと思うのは、多次元宇宙、平行世界的な方向に話が進まなかった事です。
そちらに話が流れていくと、「インフィニティ―ストーン」の存在から、過去作で積み上げてきたものから、全て陳腐化する気がしたからです。
また、サノスというマーベルを象徴するヴィランの後では、どんなヴィラン格落ち感がある事を不安に思っていましたが、今作のミステリオ、あるいはホームカミングのヴァルチャーのように単純な強さとは異なる「大人の強かさ」を持ったヴィランというのも十分怖く、説得力があると感じました。スケールの大きな悪役はそんなに沢山いりませんし、ドラゴンボールのように戦闘力のインフレだけは勘弁してほしいです・・。
MJとキャッキャしてハッピーエンドかと思いきや、スパイダーマンの正体が最悪の形で暴露されてしまいました。正体がバレる・・・これは正にアイアンマンのラスト記者会見シーンを連想させますが、あっちは「私がアイアンマンだ」と自白したのに対し、今作はミステリオ殺しの犯人として「濡れ衣を着せられて告発された」訳です。
また、ヒューリーとヒルだと思っていたのが実はスクラル人だった件・・どこからなんでしょうか?メキシコの砂男に破壊された後を視察していた2人も既にスクラル人だったのでしょうか?
「こんなスッキリしない心境にさせて終わっちゃうの?」というモヤモヤはありますが、映画としてMCU作品ファンとして十分楽しめましたし、もう1回くらい劇場に足を運ぶ気がしております。